一般社団法人 呼吸研究 RESPIRATION.JP|雑誌「呼吸」by Respiration Research Foundation 


最新号 3巻2号



~~今月の論文(『呼吸』バックナンバーより)~~

呼吸30(12):1079―1083,2011
講座 ピットフォール
     びまん性嚥下性細気管支炎
要旨  誤嚥には顕性誤嚥と不顕性誤嚥があり、これらにより生ずる肺炎を嚥下性肺疾患と呼ぶ。嚥下性肺疾患は、嚥下性肺炎(通常型)、メンデルソン症候群、人工呼吸器関連肺炎、びまん性嚥下性細気管支炎に分類される。びまん性嚥下性細気管支炎は、反復する不顕性誤嚥が病因と考えられており、神経疾患や認知症に伴う嚥下障害が存在する高齢者に多く認める。診断は、嚥下機能評価による誤嚥の存在の確認と、胸部 CT でびまん性小葉中心性の粒状病変の存在、また病理所見で細気管支周囲炎と気道内への肉芽形成や閉塞が認められることなどに基づく。起因菌は肺炎桿菌や緑膿菌の頻度が高く、治療は抗菌薬治療に加え、嚥下機能改善のための口腔内ブラッシングや嚥下訓練、ACE 阻害薬などによる誤嚥予防のための薬物療法などが挙げられる。

キーワード:  びまん性嚥下性細気管支炎  嚥下性肺疾患  誤嚥性肺炎  嚥下機能障害  不顕性誤嚥
          図2  食道アカラシアに併発した びまん性嚥下性細気管支炎 の胸部画像所見
a:胸部単純 X 線。両側びまん性に粒状影を認める。
b:胸部 HRCT。びまん性に小葉中心性の小粒状病変を認める。


~~院内肺炎、医療・介護関連肺炎の多くは誤嚥性肺炎が実態である~~
~~びまん性嚥下性細気管支炎(diffuse aspiration bronchiolitis:DAB) は、1978年に山中ら2)が、びまん性汎細気管支炎 (diffuse panbronchiolitis:DPB)との対比で誤嚥性 DPBとして報告し、1989年には福地ら3)が総数 1,673 例の剖検肺のうち上記の所見を有するものを、びまん性嚥下性細気管支炎と呼ぶことを提唱した。~
~~呼吸機能検査では閉塞性もしくは混合性換気障害を呈することが多く、胸部単純 X線では、両側下肺野優位に多発性の小結節影を認める。DAB 5 例の HRCT 所見の報告12)では、小葉中心性粒状病変を全肺野に認め、下葉にやや優位に分布するとされる。また、DPB のように末梢肺の過膨張所見を認めることは少ないとされている。図 2 に当院で経験した食道アカラシアに合併したDABの胸部画像所見を示す。~~

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2015.12.16 『呼吸』Vol.34 No.12 が発刊されました。 12月号には、第43回箱根呼吸討論会記録がsupplementとして付いています。なお、『呼吸』はこれで休刊になります。
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2015.10.02 『呼吸』はVol.34 No.12 で休刊となります。
2015.09.15 『呼吸』Vol.34 No.9 が発刊されました。
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6月号では、コロナウイルスの感染症 中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。執筆は長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の 安田二朗先生です。
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2015.05.15 『呼吸』Vol.34 No.5 発刊
2015.04.15 『呼吸』Vol.34 No.4 発刊

一般社団法人 呼吸研究解散のご案内
拝啓
 平素は一般社団法人 呼吸研究の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、一般社団法人 呼吸研究は本年3月に法人組織を解散し活動を停止することになりました。
 滝島任先生が初代編集委員長として、1982年9月に創刊された雑誌『呼吸』は、読者の皆様やご寄稿いただいた先生方など大変多くの方々からのお力添えを賜り、呼吸器学の月刊専門誌として、基礎から臨床にいたるまでの最新知見を読みやすい誌面でお伝えしていくことを目標に、刊行を続けてまいりました。その『呼吸』が諸般の事情により、2014年末に34巻12号で冊子体としての発行を休止いたしました。
 その後、『呼吸』編集委員会は、呼吸器関係の学術誌が限られた発行状況にあることを考慮して、『呼吸』バックナンバーのWeb上での閲覧を持続するとともに、電子図書『呼吸』eレポートの発行を行ってまいりました。
 しかし諸般の状況検討により、今後の活動継続は困難と判断し、法人解散の手続きを関係者の体力的に余力があるうちに実施することを編集委員会の総意として決定しました。
 法人解散後は、一般社団法人 呼吸研究が有していました『呼吸』等発行図書の著作権を公益財団法人 日本呼吸器財団に承継していただき、WEB上での “『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム”の維持運営と発行済『呼吸』eレポートの閲覧公開を継続することにしています。

 長きにわたり『呼吸』と一般社団法人 呼吸研究の活動にご支援賜りました皆様方には厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具

2020年2月 
一般社団法人 呼吸研究
事務局