一般社団法人 呼吸研究 RESPIRATION.JP|雑誌「呼吸」by Respiration Research Foundation 


最新号 3巻2号



~~今月の論文(『呼吸』バックナンバーより)~~

呼吸33(8): 754―761,2014
解 説 基 礎
     中皮腫と p16 遺伝子の欠失
要旨  中皮腫はいまだに予後の極めて悪い疾患ではあるが,初期に治療を開始することの重要性が明らかになったので,早期の診断がより求められている。初期には中皮腫 vs 反応性中皮過形成の鑑別が困難であることが多い。p16 FⅠSH によるホモ接合性欠失(ホモ欠失)の検出は,この中皮腫 vs 反応性中皮過形成の鑑別において極めて有用であり,かつ胸膜中皮腫においては p16 ホモ欠失の有無が予後因子となる。この鑑別において,p16 のホモ欠失陽性は中皮腫を支持するが,ホモ欠失陰性イコール反応性中皮過形成ではない。ホモ欠失陰性症例の細胞診診断においては,陽性例の p16 FⅠSH とバーチャルスライドを用いた形態解析によって得られた形態学的特徴とそのカットオフ値が有用である。
 
キーワード: 中皮腫  鑑別診断  p16  FⅠSH  ホモ接合性欠失
          図1  p16 FISH法
 p16INK4ap15INK4bp14ARFは 9p21 領域でも約 35kb という近接した領域に存在し,前 2 者はサイクリン依存性キナーゼ(Cdk)阻害因子をコードし,Cdk4/6 と結合してそのキナーゼ活性を阻害することで,Rb 蛋白のリン酸化を抑え,S 期への進行を抑制している。p14ARFp53 を抑制する MDM2の活性を阻害することによって腫瘍抑制遺伝子として機能している。FISH では,9p21 領域に対するプローブを赤色蛍光にてラベルし,セント ロメアに対するプローブを緑色蛍光にてラベルしている。正常では赤色シグナル,緑色シグナルともに 2 個得られる。赤色シグナルを 2 個とも欠失したものがホモ接合性欠失,1 個欠失したものがヘテロ接合性欠失である。


 ~~p16 遺伝子(CDKN2Ap16INK4a )は 9 番染色体短腕の9p21 領域に存在している。上述のごとくここは中皮腫で最も多く欠失の観察されている領域であり9)10),中皮腫発生に関する動物実験でも確認されている19)。この 9p21 領域には p16 遺伝子以外にも,腫瘍抑制遺伝子としての活性を有する CDKN2B(p15INK4b ),p14ARF遺伝子が存在する(図 1)。~~
~~p16 遺伝子は他の遺伝子と同様に相同染色体上に 2 つ存在する。腫瘍抑制遺伝子としての機能は,この両者の機能がともに失われた際に喪失する(Knudson の two-hit hypothesis)が,この機能喪失のメカニズムには,同遺伝子の欠失,点変異(mutation),遺伝子の転写調節領域におけるメチル化がある。2 つの遺伝子がともに欠失によって 失われるのはその代表であり,これをホモ接合性欠失(ホモ欠失)と呼ぶ。~~
~~p16 遺伝子のホモ欠失に関しては,FISH によるデータが集積されるにつれて,その重要性がより高まり,有用な診断補助手法として認識されるようになってきた。~~

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2015.09.15 『呼吸』Vol.34 No.9 が発刊されました。
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2015.07.15 『呼吸』Vol.34 No.7 が発刊されました。
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6月号では、コロナウイルスの感染症 中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。執筆は長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の 安田二朗先生です。
2015.06.03 『呼吸』Vol.34 No.6 が15日に発刊されます。長崎大学野の 安田二朗先生により中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。
2015.05.15 『呼吸』Vol.34 No.5 発刊
2015.04.15 『呼吸』Vol.34 No.4 発刊

一般社団法人 呼吸研究解散のご案内
拝啓
 平素は一般社団法人 呼吸研究の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、一般社団法人 呼吸研究は本年3月に法人組織を解散し活動を停止することになりました。
 滝島任先生が初代編集委員長として、1982年9月に創刊された雑誌『呼吸』は、読者の皆様やご寄稿いただいた先生方など大変多くの方々からのお力添えを賜り、呼吸器学の月刊専門誌として、基礎から臨床にいたるまでの最新知見を読みやすい誌面でお伝えしていくことを目標に、刊行を続けてまいりました。その『呼吸』が諸般の事情により、2014年末に34巻12号で冊子体としての発行を休止いたしました。
 その後、『呼吸』編集委員会は、呼吸器関係の学術誌が限られた発行状況にあることを考慮して、『呼吸』バックナンバーのWeb上での閲覧を持続するとともに、電子図書『呼吸』eレポートの発行を行ってまいりました。
 しかし諸般の状況検討により、今後の活動継続は困難と判断し、法人解散の手続きを関係者の体力的に余力があるうちに実施することを編集委員会の総意として決定しました。
 法人解散後は、一般社団法人 呼吸研究が有していました『呼吸』等発行図書の著作権を公益財団法人 日本呼吸器財団に承継していただき、WEB上での “『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム”の維持運営と発行済『呼吸』eレポートの閲覧公開を継続することにしています。

 長きにわたり『呼吸』と一般社団法人 呼吸研究の活動にご支援賜りました皆様方には厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具

2020年2月 
一般社団法人 呼吸研究
事務局