一般社団法人 呼吸研究 RESPIRATION.JP|雑誌「呼吸」by Respiration Research Foundation 


最新号 3巻2号



~~今月の論文(『呼吸』バックナンバーより)~~

呼吸29(10):976―979,2010
解説 臨 床
     肺癌の重粒子線治療
要旨  現在がん治療に用いられている重粒子線には陽子線と炭素イオン線があり,放射線医学総合研究所では炭素イオン線を用いて治療を行っている。非小細胞肺癌に対する治療は 1994 年 11 月から開始され,2009 年 12 月までにのべ 918 例に対し行われた。最初の治療は末梢型Ⅰ期肺癌,肺門近接末梢型・肺門部肺癌,胸壁浸潤肺癌を対象に 18 回分割照射の線量増加試験として施行した。末梢型Ⅰ期肺癌に対しては治療期間短縮による患者負担軽減のため 9 回分割照射,4 回分割照射と,安全性および効果を確認しながら次第に分割回数を減らし,現在は1 日で照射を終了する臨床試験を行っている。9 回あるいは4 回分割照射を行った 131 例の正常組織の有害事象としてグレード 3 以上の肺反応は認めず,5 年局所制御率は 91.8 %であった。炭素イオン線治療は手術では部分切除に相当する範囲を照射しており,対象症例に手術非適応症例が 76 %と多く含まれていることを踏まえれば,侵襲が少なく,効果も十分に期待できる治療法であると考える。

キーワード: 放射線治療  粒子線治療  炭素イオン線治療  非小細胞肺癌
                図1 炭素イオン線治療前後の CT
           71 歳女性,左肺上葉のⅠB 期扁平上皮癌,1 回照射にて治療した。
              (馬場雅行ほか11).臨床放射線 53:2007 より引用)


~~重粒子とは中性子、陽子、重イオン(原子番号が 2 以上の原子の原子核)の総称であり、これらの粒子を光速近くまで加速したものが重粒子線と呼ばれる。入射した重粒子線は物質中で徐々に速度が遅くなり、その飛程の最後で一気にエネルギーを放出する~~
~~腫瘍への線量集中度が優れ、腫瘍の複雑な形状に忠実に合わせた照射が可能である。~~
~~炭素イオン線などの重イオン線はその飛跡の単位長さ当たりに放出するエネルギー(linear energy transfer:LET)が高い、高 LET 放射線であり、通常の放射線に比べて数倍生物学的効果が強い。また細胞周期の phase による細胞の放射線感受性の差が小さいため、放射線抵抗性の腫瘍に効果が期待できる。~~
~~現在は、末梢型Ⅰ期肺癌に対しては 1 日で照射が終了する 1 回照射での線量増加試験を行っている11)(図 1)。~~
~~肺癌の炭素イオン線治療は、特に手術非適応症例や手術拒否例に対しては手術に代わり得る局所根治療法として発展していくと考える。~~

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2015.09.15 『呼吸』Vol.34 No.9 が発刊されました。
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2015.07.15 『呼吸』Vol.34 No.7 が発刊されました。
2015.06.15 『呼吸』Vol.34 No.6 が発刊されました。
6月号では、コロナウイルスの感染症 中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。執筆は長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の 安田二朗先生です。
2015.06.03 『呼吸』Vol.34 No.6 が15日に発刊されます。長崎大学野の 安田二朗先生により中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。
2015.05.15 『呼吸』Vol.34 No.5 発刊
2015.04.15 『呼吸』Vol.34 No.4 発刊

一般社団法人 呼吸研究解散のご案内
拝啓
 平素は一般社団法人 呼吸研究の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、一般社団法人 呼吸研究は本年3月に法人組織を解散し活動を停止することになりました。
 滝島任先生が初代編集委員長として、1982年9月に創刊された雑誌『呼吸』は、読者の皆様やご寄稿いただいた先生方など大変多くの方々からのお力添えを賜り、呼吸器学の月刊専門誌として、基礎から臨床にいたるまでの最新知見を読みやすい誌面でお伝えしていくことを目標に、刊行を続けてまいりました。その『呼吸』が諸般の事情により、2014年末に34巻12号で冊子体としての発行を休止いたしました。
 その後、『呼吸』編集委員会は、呼吸器関係の学術誌が限られた発行状況にあることを考慮して、『呼吸』バックナンバーのWeb上での閲覧を持続するとともに、電子図書『呼吸』eレポートの発行を行ってまいりました。
 しかし諸般の状況検討により、今後の活動継続は困難と判断し、法人解散の手続きを関係者の体力的に余力があるうちに実施することを編集委員会の総意として決定しました。
 法人解散後は、一般社団法人 呼吸研究が有していました『呼吸』等発行図書の著作権を公益財団法人 日本呼吸器財団に承継していただき、WEB上での “『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム”の維持運営と発行済『呼吸』eレポートの閲覧公開を継続することにしています。

 長きにわたり『呼吸』と一般社団法人 呼吸研究の活動にご支援賜りました皆様方には厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具

2020年2月 
一般社団法人 呼吸研究
事務局 
ご案内
 旧一般社団法人呼吸研究に帰属していました『呼吸』等に関わる著作権は、2020年3月に一般社団法人呼吸研究が解散し、公益財団法人日本呼吸器財団に承継されていましたが、2024年4月から一般社団法人日本呼吸器学会に承継されることになりました。
 なお本サイトの管理、および本サイト上での“『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム” の維持運営はインタージョイン株式会社が行っています。
2024年4月 インタージョイン株式会社