一般社団法人 呼吸研究 RESPIRATION.JP|雑誌「呼吸」by Respiration Research Foundation 


最新号 3巻2号



~~今月の論文(『呼吸』バックナンバーより)~~

呼吸28(9):913―917,2009
講 座 稀な肺疾患
   Q 熱
要旨  Q 熱は家畜やイヌ,ネコなどが保菌する病原菌コクシエラのヒトへの感染に起因する動物由来感染症であり,肝炎や不明熱,心内膜炎など多彩な病型をとり得るが,なかでも肺炎,気管支炎,インフルエンザ様上気道炎などの呼吸器感染症として発症する症例が多い。Q 熱肺炎の発症頻度は日本国内では市中肺炎のうち 1〜2 %程度と報告されているが,本症はしばしば非特異的な臨床像や胸部 X 線所見を呈し,また必ずしも動物との接触機会が濃厚でなくとも感染が成立することから,その臨床診断は必ずしも容易ではない。即ち我々が日常診療で遭遇する市中肺炎のなかには一定の頻度で Q 熱肺炎症例が紛れ込んでいる可能性が高い。急性 Q 熱の診断には抗体価の追跡と PCR が重要であり,動物との接触機会を有する症例,季節はずれのインフルエンザ様発熱,βラクタム薬無効肺炎例などにおいては,必要に応じて積極的な検査を試みることが望ましい。


キーワード: Q 熱  Coxiella burnetii  動物由来感染症  非定型肺炎  不明熱
図3 症例提示:肺炎症例 1 (59歳、女性)
主訴:発熱、背部痛、筋肉痛、湿性咳嗽
   高血圧で当院に定期通院中 3月中旬から 38 ℃台の発熱が出現、近医に通院するも軽快せず発症 5日目に当院受診のうえ入院へ
ペット:なし
検査所見:CRP 1.38    WBC 4,000
     コクシエラⅡ相菌抗体価 (IgG) : 入院時 16 倍以下、追跡時 128 倍
     急性期の喀痰: PCR 陽性   急性期の血液: PCR 陽性
MINO 投与にて順調に病勢改善し退院へ



~~急性 Q 熱症例の病像は概ね非特異的であり、臨床像や一般検査所見のみから本症を診断することは困難である。 急性期の自覚症状は高熱、咳嗽、喀痰などの他に倦怠感、 頭痛、筋肉痛、食欲低下など全身症状が目立つ症例が多い~~
~~肺炎例における胸部画像所見は典型例では多発性の肺野斑状影を呈するが、実際には通常の細菌性肺炎と鑑別が困難な症例が多い~~
~~肺炎例に関してはβラクタム薬無効、ミノサイクリンが著効、全身症状が比較的高度、白血球上昇は軽度、肝障害併発率が高い、といった特徴を有する~~


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2022.5.19 “ほっと『ひと呼吸』”に「スケッチによる旅の思い出」を掲載公開しました。
2022.5.9 “ほっと『ひと呼吸』”の「くつろぎの時間の風景」に“「善福寺池」の上を泳ぐ鯉のぼり”を追加掲載しました。
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2022.4.11 “ほっと『ひと呼吸』”の「くつろぎの時間の風景」に“井の頭池の春”を追加掲載しました。
2022.4.3 “ほっと『ひと呼吸』”の「松谷名誉園長が案内する京都府立植物園」に“キクザクラ(菊桜)”を追加掲載しました。      
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2018.5.23 『呼吸』eレポート2巻1号を本日公開しました。
2018.5.19 『呼吸』eレポート2巻1号を5/23水曜日に公開する予定です。
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2017.12.08 『呼吸』eレポート1巻2号に“解説 臨床”「日本人を対象としたCOPDスクリーニング質問票」を追加し、本日公開しました。
2017.11.29 『呼吸』eレポート1巻2号を本日公開しました。
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2015.11.17 12月15日発刊予定の『呼吸』Vol.34 No.12 で休刊になります。12月号には、第43回箱根呼吸討論会記録がsupplementとして付いています。
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2015.10.02 『呼吸』はVol.34 No.12 で休刊となります。
2015.09.15 『呼吸』Vol.34 No.9 が発刊されました。
2015.08.17 『呼吸』Vol.34 No.8 が発刊されました。
2015.07.15 『呼吸』Vol.34 No.7 が発刊されました。
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6月号では、コロナウイルスの感染症 中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。執筆は長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の 安田二朗先生です。
2015.06.03 『呼吸』Vol.34 No.6 が15日に発刊されます。長崎大学野の 安田二朗先生により中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。
2015.05.15 『呼吸』Vol.34 No.5 発刊
2015.04.15 『呼吸』Vol.34 No.4 発刊

一般社団法人 呼吸研究解散のご案内
拝啓
 平素は一般社団法人 呼吸研究の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、一般社団法人 呼吸研究は本年3月に法人組織を解散し活動を停止することになりました。
 滝島任先生が初代編集委員長として、1982年9月に創刊された雑誌『呼吸』は、読者の皆様やご寄稿いただいた先生方など大変多くの方々からのお力添えを賜り、呼吸器学の月刊専門誌として、基礎から臨床にいたるまでの最新知見を読みやすい誌面でお伝えしていくことを目標に、刊行を続けてまいりました。その『呼吸』が諸般の事情により、2014年末に34巻12号で冊子体としての発行を休止いたしました。
 その後、『呼吸』編集委員会は、呼吸器関係の学術誌が限られた発行状況にあることを考慮して、『呼吸』バックナンバーのWeb上での閲覧を持続するとともに、電子図書『呼吸』eレポートの発行を行ってまいりました。
 しかし諸般の状況検討により、今後の活動継続は困難と判断し、法人解散の手続きを関係者の体力的に余力があるうちに実施することを編集委員会の総意として決定しました。
 法人解散後は、一般社団法人 呼吸研究が有していました『呼吸』等発行図書の著作権を公益財団法人 日本呼吸器財団に承継していただき、WEB上での “『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム”の維持運営と発行済『呼吸』eレポートの閲覧公開を継続することにしています。

 長きにわたり『呼吸』と一般社団法人 呼吸研究の活動にご支援賜りました皆様方には厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具

2020年2月 
一般社団法人 呼吸研究
事務局