一般社団法人 呼吸研究 RESPIRATION.JP|雑誌「呼吸」by Respiration Research Foundation 


最新号 3巻2号



~~今月の論文(『呼吸』バックナンバーより)~~

呼吸27(5): 492―499,2008
講座 稀な呼吸器疾患
   リンパ腫様肉芽腫症
要旨  リンパ腫様肉芽腫症は,リンパ節以外の肺などの臓器の血管を中心に,多くの正常 T 細胞と少量の異型 B 細胞が浸潤するリンパ増殖性疾患である。肺が主な標的臓器であり,胸部写真上では多発性結節陰影または空洞陰影が中下肺野の気管支血管束や小葉間隔壁に沿って存在する。画像所見からはその他の疾患との鑑別は困難であり,病理学的に診断を確定する。しかし,免疫学的手法や分子生物学的手法を併用しないと判断は難しい。自然軽快する症例もあるが,多くはリンパ腫に移行する可能性があり,予後は決してよくない。predonisolone と cyclophosphamide の併用療法が行われてきたが,B 細胞に由来することから最近は rituximab を用いることが少なくない。なお,リンパ増殖性疾患に関する病理学的な分類には限界があり,確立された疾患概念であるとはいえないため,今後改編される可能性もある。
 
キーワード: リンパ腫様肉芽腫症  リンパ増殖性疾患  リンパ腫  多発性結節陰影  化学療法
      図1 図2 リンパ腫様肉芽腫症(lymphomatoid granulomatosis: LYG)の症例
       図 1a:初診時。両側中下肺野に多数の結節陰影を認める。
          b:約 1 カ月後。急速に陰影が悪化・進行している。
       図 2a:初診時。両側の気管支血管束に境界鮮明な多発性の結節陰影を認める。
          b:約 1 カ月後。急速に結節陰影が増大し,周囲にスリガラス陰影が出現し
           辺縁が不鮮明となっている。新たな結節陰影も出現している。
                      (済生会山形済生病院呼吸器科 鈴木博貴先生より供与)


~~9 割の症例で何らかの症状を有するといわれており,表 5 に示したように 4〜8カ月間持続する咳嗽,息切れ,胸痛といった呼吸器症状や発熱の他,肺外病変を示唆する皮膚所見や神経異常にも注意すべきである。~~
~~胸部 X 線画像は多彩な所見を呈する(表 6) 1)2)7)36)〜42)。最も典型的な所見は,両側中下肺野に多発する大小の結節性病変(68〜100 %)であり,結節の大きさは 1〜8 cm が多く,肺野末梢側に分布し辺縁は不明瞭な場合が多い(図1)。空洞化を約 3 割に認める。間質へのリンパ球浸潤による間質陰影の増強や網状粒状影は 5〜43%の症例で認める。~~
~~図 2に例を示したように,進行すると境界が不鮮明となっていき,辺縁や周囲にスリガラス陰影が加わる。~~


本論文のPDFを閲覧する


What's News /お知らせ
2024.6.20 “ほっと『ひと呼吸』”に「源氏物語とゆかりの植物-序章-」を掲載しました。
2024.2.15 “ほっと『ひと呼吸』”に私の科学史Wanderings(その1)-序章-及び(その2)-お玉が池種痘所跡(東京大学・医学部発祥の地)-を掲載しました。
2024.1.11 “ほっと『ひと呼吸』”の「スケッチによる旅の思い出」に“木曾路 妻籠宿”を追加掲載しました。
2023.9.12 『呼吸』バックナンバーに、未公開だった『呼吸』サプルメントをPDF化して掲載公開しました。「テーマ」のプルダウンメニューから「サプルメント」、「Asthma club in Sendai」、「Airway Club in Sendai」、「脂質メデイエーター研究集会」、「気道過敏性研究会」、「Onon Forum in TOHOKU」などを選択して検索してください。
2023.6.25 “ほっと『ひと呼吸』”の「くつろぎの時間の風景」に“大島沖から見た富士山”を追加掲載しました。
2023.6.1 “ほっと『ひと呼吸』”の「スケッチによる旅の思い出」に“高知城”と“津城”を追加掲載しました。
2023.2.1 “ほっと『ひと呼吸』”に「松谷名誉園長が案内する京都府立植物園」の特別編「比叡山と京都府立植物園 とくに冬」を掲載しました。
2023.1.30 “ほっと『ひと呼吸』”の「スケッチによる旅の思い出」に“松本城”を追加掲載しました。
2022.11.7 “ほっと『ひと呼吸』”に「松谷名誉園長が案内する京都府立植物園」の新シリーズ“秋”の1回目「コダチダリア」を掲載しました。
2022.7.8 京都の祇園祭といえば、“ヒオウギの花”です。祇園祭とヒオウギについての解説を“ほっと『ひと呼吸』”の「松谷名誉園長が案内する京都府立植物園」に掲載しました。
2022.5.27 “ほっと『ひと呼吸』”に「松谷名誉園長が案内する京都府立植物園」の新シリーズ“梅雨時の花木”を掲載しました。
2022.5.19 “ほっと『ひと呼吸』”に「スケッチによる旅の思い出」を掲載公開しました。
2022.5.9 “ほっと『ひと呼吸』”の「くつろぎの時間の風景」に“「善福寺池」の上を泳ぐ鯉のぼり”を追加掲載しました。
2022.5.8 “ほっと『ひと呼吸』”に「あばた(痘痕)もえくぼ(靨) … ほうこ(奉公)さん …」を掲載公開しました。
2022.4.11 “ほっと『ひと呼吸』”の「くつろぎの時間の風景」に“井の頭池の春”を追加掲載しました。
2022.4.3 “ほっと『ひと呼吸』”の「松谷名誉園長が案内する京都府立植物園」に“キクザクラ(菊桜)”を追加掲載しました。      
2022.3.16 “ほっと『ひと呼吸』”に「松谷名誉園長が案内する京都府立植物園」を掲載公開しました。
2022.2.22 “ほっと『ひと呼吸』”に「ミリック-エミリ教授を偲んで」を掲載公開しました。
2022.2.18 “ほっと『ひと呼吸』”に「高尾山からみる富士山」を掲載公開しました。
2022.2.18 “ほっと『ひと呼吸』”の掲載を開始し公開しました。
2020.6.11 “今月の論文(『呼吸』バックナンバーより)”の掲載を開始します。
2020.4.1 本日より、本情報サイトの 管理・運営をインタージョイン株式会社が担当します。
2020.3.31 本日をもって一般社団法人 呼吸研究の法人組織を解散し活動を停止します。
2019.11.20 『呼吸』eレポート3巻2号を本日公開しました。
2019.5.20 『呼吸』eレポート3巻1号を本日公開しました。
2019.5.8 『呼吸』eレポート3巻1号を5/20月曜日に公開する予定です。
2018.11.21 『呼吸』eレポート2巻2号を本日公開しました。
2018.11.16 『呼吸』eレポート2巻2号を11/21水曜日に公開する予定です。
2018.9.25 『呼吸』バックナンバーをダウンロードするために現在ご使用されているユーザーIDとパスワードの有効期限は、本年12月末となっています。有効期間延長の手続きをお願いします。
2018.6.29 『呼吸』eレポート2巻1号に“解説 臨床”「臨床プロテオゲノミクスによる肺がんのプレシジョン医療」を追加公開しました。
2018.5.23 『呼吸』eレポート2巻1号を本日公開しました。
2018.5.19 『呼吸』eレポート2巻1号を5/23水曜日に公開する予定です。
2017.12.15 『呼吸』eレポート1巻2号に“総説”「新たな肺がん診断・治療戦略 ―PDTの可能性―」を追加公開しました。
2017.12.08 『呼吸』eレポート1巻2号に“解説 臨床”「日本人を対象としたCOPDスクリーニング質問票」を追加し、本日公開しました。
2017.11.29 『呼吸』eレポート1巻2号を本日公開しました。
2017.11.22 『呼吸』eレポート1巻2号を11/29水曜日に公開する予定です。
2017.11.06 『呼吸』eレポートのISSN登録手続きが完了しました。ISSN は、2433-5436となります。
2017.05.30 『呼吸』eレポート閲覧画面にズーム機能を追加しました。論文各ページの左上の虫眼鏡をクリックするごとに拡大率が変化します。
2017.05.24 『呼吸』eレポート創刊号を公開しました。
2016.02.22 事務所を移転します。現在の神田須田町から3月1日に、文京区本郷2丁目に移ります。引っ越し作業に伴い、メールが一時使用できません。また、電話も03-3257-6931から 03-5844-6530に変わります。
2015.12.16 『呼吸』Vol.34 No.12 が発刊されました。 12月号には、第43回箱根呼吸討論会記録がsupplementとして付いています。なお、『呼吸』はこれで休刊になります。
2015.11.17 12月15日発刊予定の『呼吸』Vol.34 No.12 で休刊になります。12月号には、第43回箱根呼吸討論会記録がsupplementとして付いています。
2015.11.16 『呼吸』Vol.34 No.11 が発刊されました。
2015.10.15 『呼吸』Vol.34 No.10 が発刊されました。
2015.10.02 『呼吸』はVol.34 No.12 で休刊となります。
2015.09.15 『呼吸』Vol.34 No.9 が発刊されました。
2015.08.17 『呼吸』Vol.34 No.8 が発刊されました。
2015.07.15 『呼吸』Vol.34 No.7 が発刊されました。
2015.06.15 『呼吸』Vol.34 No.6 が発刊されました。
6月号では、コロナウイルスの感染症 中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。執筆は長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の 安田二朗先生です。
2015.06.03 『呼吸』Vol.34 No.6 が15日に発刊されます。長崎大学野の 安田二朗先生により中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。
2015.05.15 『呼吸』Vol.34 No.5 発刊
2015.04.15 『呼吸』Vol.34 No.4 発刊

一般社団法人 呼吸研究解散のご案内
拝啓
 平素は一般社団法人 呼吸研究の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、一般社団法人 呼吸研究は本年3月に法人組織を解散し活動を停止することになりました。
 滝島任先生が初代編集委員長として、1982年9月に創刊された雑誌『呼吸』は、読者の皆様やご寄稿いただいた先生方など大変多くの方々からのお力添えを賜り、呼吸器学の月刊専門誌として、基礎から臨床にいたるまでの最新知見を読みやすい誌面でお伝えしていくことを目標に、刊行を続けてまいりました。その『呼吸』が諸般の事情により、2014年末に34巻12号で冊子体としての発行を休止いたしました。
 その後、『呼吸』編集委員会は、呼吸器関係の学術誌が限られた発行状況にあることを考慮して、『呼吸』バックナンバーのWeb上での閲覧を持続するとともに、電子図書『呼吸』eレポートの発行を行ってまいりました。
 しかし諸般の状況検討により、今後の活動継続は困難と判断し、法人解散の手続きを関係者の体力的に余力があるうちに実施することを編集委員会の総意として決定しました。
 法人解散後は、一般社団法人 呼吸研究が有していました『呼吸』等発行図書の著作権を公益財団法人 日本呼吸器財団に承継していただき、WEB上での “『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム”の維持運営と発行済『呼吸』eレポートの閲覧公開を継続することにしています。

 長きにわたり『呼吸』と一般社団法人 呼吸研究の活動にご支援賜りました皆様方には厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具

2020年2月 
一般社団法人 呼吸研究
事務局 
ご案内
 旧一般社団法人呼吸研究に帰属していました『呼吸』等に関わる著作権は、2020年3月に一般社団法人呼吸研究が解散し、公益財団法人日本呼吸器財団に承継されていましたが、2024年4月から一般社団法人日本呼吸器学会に承継されることになりました。
 なお本サイトの管理、および本サイト上での“『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム” の維持運営はインタージョイン株式会社が行っています。
2024年4月 インタージョイン株式会社